かぐや指/salco
 
した年寄りを食うなんて、そんな条理はあるもんじゃ
ねえぞ」
 根性曲がりのロバがますます嫌がって踏ん張るのを何度もどやしつけ、
ロバよりは幾分か詳細な想像力で怯える生存本能を励ましつつ何とか目的
を遂げたのは、何としても肉料理にありつきたいという、ただその一念か
らでした。
 だからそのまま持って帰って来いと喚かれた通りにはしたものの、飯の
支度もせずにふて寝を決め込むお婆さんへのむかっ腹はどうにも収まりま
せん。空きっ腹のまま、寿命が縮むような恐怖を味わい重労働をさせられ
た上、沙漠の夜は骨に沁みるほど冷え込んでいましたが、何ということで
しょう、日中の灼熱に放置されていたワ
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