サーカスがやってきた / ****'04/小野 一縷
 
頭の中で 鳴るんだ

音を飲み込む音 音を噛み砕く音
音を叩く音 音を破る音
音を切る音 音を捻る音
音を削る音 

それらが それぞれ七色に発光して
カウントダウンが始まる
サーカスの開幕だ

真鍮喇叭の音が球体になって
その表面を虹の歪みが被って瞬時に発光する
暗黒に一個の存在が灯る
数式の上での答えのように 確実に 輝く
その輝きは連続する
脳裏を照らす スポットライトだ

啜る 音を耳から啜る
鼓膜に何千と何万と針の雨となって注がれる音の洪水
一枚舞落ちたミクロの枯葉は 粒子状の文字だった 
それらは 内耳から目蓋に照射される 
吸う 光を 文字
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