高級弁当という収穫/光井 新
 
間なのであろうと思い込んでいた事に気が付いたのだ。
 とてつもなく大きなM氏の親切心を、真摯に受け止めたい。その思いで、「御土産が欲しいです」と私は顔を真っ赤にしたまま頼んだ。するとM氏は、直ぐにウェイターを呼び寄せて、御土産を準備しておくよう注文してくれた。
 しかし暫くすると、今度は明後日以降の食事の心配がちらつき始める。その事を直ぐ、正直に、私はM氏に打ち明けた。
 M氏は微笑みながら、「大丈夫ですよ。きっと上手く行きます。今夜は楽しく飲みましょう。さ、久保田です。美味しいですよ」と言って、私に酒を勧めた。私は、手元にあった残りのビールを慌てて片付けてから、「有り難う御座います」と言っ
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