ヒューム「ベルグソンの芸術論」(4)/藤原 実
 
Xへの献辞』というエッセイにもあらわれているようにぼくは感じます。
『Xへの献辞』は「現代は荒地である」という一節で知られた、荒地派のマニフェストともいうべき文章です。「荒地同人」という署名がされていますが、鮎川信夫によって書かれたものと考えていいようです。

現代は荒地であり、ヒューマニズムの無秩序と混乱と、唯物的な近代の世界観の厚顔無恥により、宗教的倫理的な絶対価値が忘れ去られ、伝統の喪失と権威の崩壊によって、現代は言葉への不信の時代となっている、と鮎川は言います。
言い換えれば、宗教的倫理や伝統や権威をささえるべきものとして「言葉」が考えられているということで、「言葉に対するこの深い
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)