訃報ー通夜3ー/……とある蛙
 

 郊外電車の車窓から夕暮れの開発地が見える。電車はあるときは半地下に潜り、あるときは高架線となり、田園地帯を我が物顔に走る。路線の駅に会わせて区画整理された街並みは美しいが、ほんの数百メートル移動する車窓からは開発に乗り遅れた田畑が雑然と交錯されるわけでもなく続いてい行く。その田畑の丘陵地の果てに今日の一日が真っ赤な顔をして沈もうとしている。あたりは照り返しで赤くなっているが、情緒的な綺麗さはなく、金儲けに破れた屍といわゆる土地成金の流した血がごちゃ混ぜになって陰惨な風景となっている。そこに整った規則性はない。
 目的地のM平に到着するが、一五年前と変わらない風景と、ただ一点破産したS不動産
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