訃報ー通夜3ー/……とある蛙
動産の建物が貸CD屋のビルに変わったぐらいか。
Kさん、あなたの訃報を今日Faxで受けとり、少し驚きました。
一年前の胃癌の摘出手術が成功し、事務所にもちょくちょく顔を見せてお話ししたこともあり、完治したと勝手に想像しておりました。あなたは私よりお若い。私に対しても常々「あまりお酒をお飲みにならない方が良いですよ。身体あってのモノダネですよ」などと注意して下さいました。あなたとつきあい始めた二〇年前、私よりお若く元気だったあなたとよく飲みに行きました。しかし、ビールしか飲まなかったあなたがこんなに早く逝かれるとはあの時点で想像もつきませんでした。二人のお子さんも大きくなれましたが、まだ大学在学中とお聞きしました。また、お孫さんの顔を見たわけでもなく、さぞかし残念なことと存じます。
あらためて ご冥福をお祈り申し上げます。
通夜はあっけないほど早く終わり、参列者達は三々五々郊外電車に乗車して東京に向かう。厄落としで鮨を二個ばかりつまんだが、食べた気がしなかった。
今日は早く帰ろう。とにかく早く帰ろう。と郊外電車の中で呟いていた。
今日はとにかく早く帰ろう。
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