「荒地」を読むための諸前提 1/るか
 

として受け入れることでもありますが、鋭く時代や歴史といったものに
肉薄した詩的営為である荒地派の詩を読むとき、どうしてもそのような
態度はつよく求められますし、ひとつの時代を未来に宛てて投函したも
のが彼らの詩業であったという言い方も成り立つかもしれません。
 
20世紀初頭から第二次大戦の終結に至るこの「時代」は、「時代」
そのものについてラディカルに問いを発さなくてはならないような、現
在にいう自己言及性を有した時代でありました。第一時世界大戦の破滅
的な戦争の惨禍は、長く世界を牽引してきた「文明国家」であるヨーロ
ッパ諸国に、「文明」とは何か、自分たちはほんとうに
[次のページ]
戻る   Point(7)