「荒地」を読むための諸前提 1/るか
 
うに正しく歴史の行
程を歩みえているのか、そういう反省を促さずにはいなかった。エリオ
ットという詩人じたいがそのような背景の中で、いわばヨーロッパの危
機に対して鋭敏な批評活動を遂行した詩人でありましたし、この時期に
はまたフッサールやハイデガーといった哲学者もまた、ヨーロッパの危
機と題した講演を行うなど、危機意識が蔓延していました。激しい歴史
の転回点であった訳です。危機意識は二つの世界的な戦争と社会主義国
家の興隆という形で現実のものとなりました。
 
そのなかにあって荒地派がとった思想的スタンスはどのようなもので
あったかが、以下に、簡潔に述べられています。


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