おせち/salco
 
シャレ
にしようと思いついたのだが、ウケ狙いにしてはおいしくもなく、正月
早々ちょっと悪趣味かなと結局やめた。何しろあの頃は地味だったの
で、今の生活水準で思い出しても湿っぽいだけだ。幸せなローラ・イン
ガルスほど労奴・エンゲルス家の子供達は父親を敬慕してもいない。崩
壊家庭の子とはそんなものだ。

 普段、父は鶏の唐揚もよく作ってくれた。勿論、手羽や胸肉なんかは
使わない。醤油と生姜とS&Bのコショーをぐちゃぐちゃと揉み込んで
下味をつけ、卵をつなぎに小麦粉の衣をつけた腿肉はボリュームがあっ
ておいしかった。いかんせん、自分の掌に合わせたサイズなのでおむす
び同様、子供の口
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