おせち/salco
れを受験勉強の傍ら一人で平ら
げてきっかりニキロ太り、関係ないが翌日風疹を発症した。姉は顔に濡
れタオルを載せてベッドに仰臥しているペストっぺー私を発見し、さる
子が死んでいると触れ回った)ぐらいしか憶えていないほどだ。
今から思えば貧な代物だが、当時の私達にとっては年に一度だけ父が
作る特別な、手の込んだ料理だった。当然ながら冷製なので子供の口に
は雑煮ほどおいしくなかったにせよ、後年母や私が見よう見まねで作り
出した巷間風おせちではなく、正月料理と言えば我々四人はこのハムと
缶詰パインの寒天寄せをまず思い出す。
だから今年はふと、これを兄弟とその家族に出して昔日を偲ぶシャ
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