詩を読む5/地獄のペチカ
ると、軽やかに弾む、若々しい肌に触れたかった。「僕」はゆっくりと触れるのだ。女の体を少しずつ侵食していくように。
目の前の店から一人の女性が出てくる。女は駅へ向かう。急いでいるようには思えなかった。「僕」は近づく。彼女のすぐ後ろを歩いた。道行く人は誰も彼のことを怪しいとは思わないだろう。尾けられた女もそうだ。「僕」は歩調を速めた。女の横へ出る。女が振り向くことはない。
「ぼく」が変態であることを認めているのは、決して「ぼく」という一人の人間の下す決定ではない。「ぼく」が見ているのは社会規範であり、それを強要する権力だ。そうすべき、と下された判決に対して、「ぼく」は、そうできない、で
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