詩を読む5/地獄のペチカ
数の靴の音。
謝罪を繰り返す「ぼく」が真に抱いているのは憎悪だ。「ぼく」は「ぼく」を咎めない。「ぼく」が変態であることを認めても、「ぼく」が悪いことは認めようとしない。「ぼく」の諸悪の根源は、「DNA」であり、「うまれて」こさせた外的要因を差す。「ぼく」の謝罪は、謝罪するほどに「ぼく」以外のものを罪に陥れようとする。
繁華街の光、衝動を駆り立てる幻想。露出した肌。男にもたれかかる女。さりげなく腰に手を伸ばす男の視線。「僕」は大きく息を吐き出す。息は無色透明だった。街の光が、夜をさえぎっている。光が光と交じり合う。車の音、飛び交う会話の声。反響する足音。女の肌が欲しかった。触れると
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)