金木犀と綿が舞うような/01
 
絡を取っていない、彼の名前がそこにあった。



 肌寒い僕の部屋。雪が降ったように白い壁。冷たい手紙。
 封を開けると、便箋2枚と、すけた紙に挟まれた、何時か何処かでみたことのある、乾燥している橙色の花びらが入っていた。それらを取り出し、花びらを机の上に置き、手紙を読むことにした。
 それは便箋とは言い難い、ただのルーズリーフの切れ端だけれど、彼がきちんとした便箋
[次のページ]
戻る   Point(1)