金木犀と綿が舞うような/01
 
い色を視界からできるだけ排除するように。
 そうして僕は、冷たい雪の街から自分の家の入り口へと戻った。

 玄関の鍵を開け、中に入る。扉を閉めると、郵便受けからカラン、と乾いた音がした。どうせまた訳のわからない類の店の広告が入っているのだろうと、いつもなら気にも留めないのに、手は勝手に郵便受けを開けていた。
 白い封筒に入った手紙が1通、寂しげに入っている。

 僕の苦手な白。
 雪のような白。
 眩しい色。
 冷たい色。
 手に取ると、温度まで雪と同じだった。

 誰かに雪球を背中へ投げつけられたような不愉快さを感じながら、差出人の名前を見る。
 あの電話を最後に連絡を
[次のページ]
戻る   Point(1)