金木犀と綿が舞うような/01
、それを吸っていたのだろう。そう考える事ができるようになった今、あのときよりは少し大人になったかもしれない。
「でも、君の前にいたら、いくら大人になっても僕は僕ちゃんのままだね。」
金木犀の木に話しかける。風が吹いて花びらが舞ったら、君が話してるような気分になって面白いのに、なんて思ったけれど風なんて吹かなかった。そこがまた彼らしいなと思って、そんな僕が少し気持ち悪い。安いセンチメンタルなんていらないのに。高くてもいらないのに。
右手を、左手に近づける。
煙草の火に触れて、乾いた金木犀の花びらは燃える。僕はしゃがみ、それを土の上に置いて、眺める。
金木犀の木の根元近くで、燃えてい
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