金木犀と綿が舞うような/01
だ。
それから数年がたった、冬が近づいているある秋の日。あの手紙が届いてから、もう何年も経ってしまっていた。
僕は夕暮れ時の、彼の住んでいた街にいた。
右手には乾いた金木犀の花びら。左手には彼が吸っていた銘柄と同じ煙草。目の前には大きな金木犀の木。
煙草を吸い始めて結構経つのに、未だに彼のように上手に吸えない。吸うのに上手も下手もあるのか疑問だけれど、今でもよくむせてしまう。僕は心だけではなく身体も子供っぽいらしい。
指に近づく煙草の火。最後に電話をしたときの事を思い出す。
彼はきっと大人だから、こんなに煙草が短くなる前に灰皿に入れ、新しい煙草に火をつけ、そ
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