注釈/地獄のペチカ
させている。ここでは、「キョウ」は時間性を意味し、第二部の「引き摺る未来」の時間の矢の無効性を意味し、「京」は都市、すなわち地理性を意味し、距離の無効性を、「凶」は運勢。つまり、偶然性を表現していると思われる。また、一つの言葉に意味を重複させる行為は「シュレディンガーの猫」を意識してのことだろう。第四部以降度々問題とされる確率の問題は、結果が「重ね合わせ」の状態にあることを指しているのではないだろうか。
カタカナ表記された意味は不可視の存在へと姿を変え、重力からにわかに解き放たれ、中空に浮き始める。
おそらく著者が第一部に月音氏の「ヒカリサス」を持ってきたのはこの部分のためだろうと
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