妖精/裕樹
の上に置くと、さあおいで、と手招きをする。
私を呼ぶのではない、箱の中のものを呼ぶのだ。
ゆっくりと箱のふたがあき、その中から何かが出てきた。
それは白い物体であった。
手のような形をしていると思ったが指はない。
白い肌のそれがにゅるりと出てくるが、手ではないのらしい。
指もない。
指もないのだから爪もないのだ。
にゅるりとでてきて、ようやく全体が見えてくる。
それはまるで長く白い袋のようだが、どことなく人間めいた輪郭があった。
手足首のない、まるで胴体だけのような形のそれは、伸縮しながらゆっくりと箱から出て、男の下にきた。
男は愛
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