詩を読む5/地獄のペチカ
ネン」はそれらを順繰りと見た。タバコの煙を吐く。夜に消えていく煙。消えていく煙を見ると、雑居ビルのチカチカスル光が目に入る。この光みたいなものだ、と思う。一体何が。思わず、噴出すように言葉が出てしまう。言葉はいつも何かを探している。それは、意味や価値のはずだった。
「あ」から「ん」が示すのは音、であった。それら音を組み合わせることで、意味が吹き込まれていく。意味が吹き込まれた音は、言葉となる。言葉は遠くのものや、目に見えないものを表現することに優れていた。言葉は遠くにあるもや、目に見えないものと同じ意味や価値として形を持つ。それらの言葉は「僕」が生まれる前からあり、「僕」が死んだ後もあるだ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)