詩を読む4/地獄のペチカ
た、かつて。引き摺られながら歩き続けた果てに、研磨された身は、不可視の存在となった。かつて見た、「サファイア」のような空を男はもう見ることはないだろう。形の中にあった男の世界は極小まで縮められもはや見えなくなったのだ。そこから眺める空はただの無限でしかない。かつてのように意味を見出すことは出来ないのだ。
女は語りながら吐き出される煙を見ている。「おかあさん」について考えている。ふわふわと漂う根無し草。それはおそらく女も一緒だ。二人は似たように言葉を多用し、メタファーを重ね、言葉から意味を見出せなくなっている。
{引用=人生って何だろうね
結局、人間って何の為に生まれて生きるのだ?
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