夜の取引/番田
を引くことなく夜の海の向こうに消えていった。これだけの量だから今後もお得意様となって、長い付き合いができるかもしれないと、向こうも考えたのかも知れない。実際、金を受け取るときにサングラスの下の口元からは微笑みがこぼれていたのを私は見た。
2
何でもない朝が来る。人々が電車に乗せられて道の果てへと連れ去られていく月曜日。日曜日までの平穏な空気が車や人の動きによってかき混ぜられていく時の、一瞬の混沌。それは火曜日に向かうにつれて先週までの色合いと等しい色彩をなしていくようにも思える。私は自動販売機でポカリスエットを買って、それを何度も口に含みながら何度か電車を乗り継いで会社に向かう。会社で
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)