詩を読む3/地獄のペチカ
 
頭、飛んでくるマヤノトップガン。マヤノトップガンが先頭二頭に並ぶと、マーベラスサンデーが徐々に遅れ始める。サクラローレルとマヤノトップガンがなおも競い合いながら、後ろから捉えたマヤノトップガンがそのまま差し切る。JRA史上名高い名勝負とたたえられるレースだった。
 そのレースを妹と一緒に見ていた。妹はまだ幼稚園生だったと思う。興奮する声がテレビからも隣からも聞こえていた。妹はどう思ったのだろう。年の離れた妹は、何の面白さも感じずにいたのだろうが、マーベラスサンデー、サクラローレル、マヤノトップガンの三頭の名前を興奮しながら叫ぶ声をその後ずっと聞かなければならなかった。妹は不満気に廊下の遊びスペー
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