中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
私の胸元でそう呟いた。私は、私もまた、王女の様に、永遠の若さと命を手に入れたい、と切に願っていた。
「まだまだ今日という一日は始まったばかりです」
私は瞼を開け、王女と見つめ合った。
「私は最近、今日という一日がやって来るのがとても恐ろしいのです。何故なら、今日という一日が終わってしまえば、貴方様の御命はその分だけ短く成ります。そして私には時間という観念が無いので、?いつ?、貴方様と逢う事のできる土曜日が来るのか分からないのですから…」
心の中で積み重なっていく虚無感。私は其の積み重なった虚無感から、冷たい風を痛切に感じ取った。此の冷たい風が止むのは、恐らく、私が死んだ後であろう。私は
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