中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
女は驚いた表情を浮かべて、暫く私の瞳を凝視していたが、やがて涙を大きな瞳の目縁に大量に浮かべると、私の名前を呼んで、私の唇に接吻し、私の体に抱き付くと、程良い大きさの乳房に掛かっていたシーツが落ち、壁の掛け時計の二つの針が12を過ぎるまで、温かい体温を私の肉体から放たれる体温と混ぜ合わせ、もう一度激しく交わった。
三 私の記憶の中の、王女と白亜の巨城の存在すべき場所
王女の裸体を抱き締めながら迎えた朝は、森の外の、自宅で迎える日曜日の朝と非常に酷似していた。私はベッドから起き上がり、服を身に着けると、ジーンズの右ポケットに入っていた目覚ましガムを取り出して口に入れ、クリーム色の
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