中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
うすぐ日付けが変わるので、もし私に此の世に存在できるだけの力が有れば、来週もまた、貴方様に御会いできると思います。…それでは、正門まで御送り致します…」
「待って下さい」
私は王女の裸体の両肩を両手で支え、彼女の大きな黒い瞳を心に大切に刻み込んだ。
「私も、貴女が還ろうとしている、私の記憶の中に在る、貴女と此の城の?存在すべき場所?へ行ってみたいと思います。そうすれば、現実の世界にはいつ戻って来られるか分かりませんが、これからは貴女や此の城と一緒に過ごす事ができます。ですから、私も、あの時計の針が12を過ぎるのを、此の城の中で、貴女と待って居ようと思います。宜しいでしょうか?」
王女は
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