中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
様の御心の中に存在します」
「しかし、幾ら考えても、私には全く理由が分からないのですが」
 王女はベッドから上半身を起こすと、美しい裸体の胸元までベッドのシーツを上げた。
「私が此の世に存在する為には、ある一定の眠りが必要なのです。其の為に、五年間、私と此の、白亜の巨城は、?存在すべき場所?に還って居たのです」
 此の白亜の巨城を囲む深くて大きな森の木々は、厳しい寒さの冬を乗り切る為に、一斉に葉を落とし、栄養を蓄え始めていた。私も王女のベッドの上で上半身を起こし、窓の外の風情の有る晩秋の風景を見つめて居た。
「ということは、また此の世に存在する為に、数年間、私の記憶の中の?存在すべき場所
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