中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
遠とは命に限り有る者には儚いものである?からである。私は王女を確かに愛している。しかし、現実とは残酷なものであり、私を本当に、心から愛してくれる人等、此の世には一人として存在しないのであった。所詮、王女は私の記憶の中の世界にしか存在しないのであり、私は只、不思議な事に、現実と幻想を行き来する事ができる、特別な人間である、というだけの事であるのだ。此の考えは、私が十一年かけてようやく導き出した結論である。枯葉の様な寂しさが、孤独な風に吹かれて、私の心から遠ざかり、私は其れを冷静に客観視していた。

「どうして貴女は五年もの間、?存在すべき場所?に戻って居たのでしょう?」
「其の答えは、貴方様の
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