中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
女の其れに擦ってしまったが、彼女は全く気を咎める気配は無く、私の瞳を見つめ続けて居た。
「其処は宇宙を包み込む此の世が生まれた、貴方様の記憶の中です」
「私の記憶の中ですか?」
 私は驚きの余り、微かに頭を後ろに退いた。
「そうです。満天の星空の様に澄み切った、広大無辺な貴方様の記憶の中の、美しい世界です」
「貴女には、私の事がその様に映るのですか?」
「はい……。私は、貴方様を永遠に愛し続けます」
 王女は微笑んでそう答えると、大きな瞳を閉じ、私の鼻の先に自分の其れを付け、顔を傾けると、果実の様に瑞々しい張りを保っている唇を、私の唇に密着させた。其の時間は随分と長く、私は永遠の温か
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