中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
なった事に、深い絶望に苛まれていた。其の為、私は自分から自殺の願望から逃れる為に、心療内科に通い、其処の女性医師に診てもらう事になった。其れが二十七歳の事である。
「此の二週間、御具合は如何でしたか?」
「毎週土曜日になると、自殺願望が顕著に脳裏を過ぎるんです。あと、雨の日や夜中等に、激しく頭が混乱するんです」
「仕事中に体調が悪くなったりしませんか」
「人の中で働き、生活する事には苦痛を感じないのですが、仕事の帰りの地下鉄等でふと、バロック音楽等を聴いて居ると、暗い世界に一人だけ取り残された様な気が致しまして、胸が痛く成りますね」
「土曜日や雨、夜、バロック音楽等に何か、トラウマみたい
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