中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
此の巨城の腐敗と共に止まっていて、貴方様の老い、いや、世界は絶えず変化を止めない、と言う事を仰りたいのですか?」
私は王女の元へと歩き、彼女を振り返らせ、彼女の両手を再び取り、彼女の大きな二つの瞳を見つめた。
「譬え私の身が朽ち果てても、此の巨城と貴女は変わる事無く、永遠に美しさを保ち続けるでしょう。私は、其の事が耐えられません。此の巨城と貴女だけが残り続ける。もし、私の命以外、全てを犠牲にして永遠を手に入れられる事ができるのならば、私は……」
「其れ以上仰るのは御止め下さい。私の心は、永遠に貴方様だけのもので御座いますから…」
王女はそう言って私を見上げると、途端に大量の涙を浮かべ、
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