中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
、私の見ている窓辺に近付いて来た。
 私は珈琲カップの上から王女の目に視線を移し、微笑んで頷いた。
「温かい雨ですね」
「此の森も、さぞかし喜んでいることでしょう」
 私は珈琲を飲み干すと、ベッドの左側に在るテーブルの上のミルクを珈琲カップに注ぎ、一気に飲み干した。
「こうして時間が過ぎ去って行くのですね。貴女の永遠の時間が羨ましいです」
「私達の出逢いは以前も、現在も、此の先も必然です。貴方様はまた、此の空間に存在し、ミルクを注いで其れを飲み干すのです」
「輪廻の観念を超越した観念ですね。再び、いや、これから礼拝堂から悲しみの曲が流れ、私と貴女は次の土曜日まで逢う事ができないのです
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