中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
作りに行き詰まっていて、…特に歌詞にね。どうしても書けないのが幾つかあるんだ。それですごく悩んでいる」
君はそう言って、電灯の光の下、煙草に火を付けた。
「どうしても書けないのなら、それらを今回のアルバムから外して、いつか書ける時が来たら、時間をかけてじっくりゆっくりと書けば良いんじゃないかな?」
僕は素人じみたアドバイスをした。
「今回のアルバムの頭にどうしても入れたいものも入っているんだ。あれが無いと、せっかくのアルバムの世界観を、台無しにしてしまうぐらい重厚なものなんだ。だから、あれは絶対に外せない」
今の地位にまで登り詰めた彼には、独自の哲学があって、それを僕は、時々理解で
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