中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 



 【十月】

 僕は大学院で最近まで、現代文学についての研究をしていたのだが、次第に現代文学の創作について興味が湧いてきたのだった。君と会うようになってから、僕は文芸誌に載っている作品を参考に、見様見真似で、小説や詩を書いていた。
 一ヶ月後、また深夜の書店で、自分の創った作品を持ってドキドキしながら待っていた。やがて君が来ると、君は少し疲れた顔をして、いつものようにだらしなく片手を上げた。僕は作品を胸に押さえ付けながら、君に声をかけた。
「やあ」
「…久し振り」
 君は元気のない口調で挨拶をした。
「元気が無いようだけど、大丈夫?」
「最近、今度出す新作アルバムの曲作り
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