中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
いう同じ土俵に立とうとしている君に仲間意識を持つけどな」
 君は本当に性格の良い人間だった。
「最初は誰もが自分の作品を他人に見せるのが恥ずかしくてたまらないものさ。でも、それが、どうしても他の人達に提示したい、と思えるようになれば、創作意欲も技術もアップし、絶対の自信に繋がるんだ。僕だってそういうものだった。自分で言うのもなんだけど、成功した当の僕が言っているんだから確実だよ。…僕に見せる見せないは自由だけれども、君が本当に創作者として生きていきたいのであれば、その壁はぶち破らなきゃいけないと思うよ」
 君は煙草の灰を携帯灰皿に落とし、沈黙の間、僕は君が先程言った言葉をもう一度繰り返し思い
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