中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
を見つけた君は、僕の顔を覗き込む様にして訊ねた。
「そいつは何だい?」
 僕ははっ、と思い出したように顔を赤くし、無意識に、後ろに隠した。
「…い、いや、何でもないよ…」
 僕は君からの追及から言い逃れようとした。
「もしかして自作の作品かい? 僕に見せてくれる為に持ってきてくれたの? ぜひとも見せてくれよ」
 君は立ち上がって素の笑顔で近付いてきたので、ほっと安心したが、羞恥心の方が大きかったので、僕は両手を後ろに回し、後ずさりしながら、言葉にならない言葉を発していた。
「何だい、そんな恥ずかしがることないじゃないか。僕は君の作品を貶すことなんて決してしないし、寧ろ新たに創作という
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