中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 


 僕は君から発せられる言葉で状況をイメージして、同じ感情を抱いた。外は明るくなっていて、まもなくお開きの時間だった。僕はプリントの束を膝の上に載せて、暫くした後に、深く頷いた。君は僕に心の闇をどうにかしてほしいのだろうかと思った。でも、君の心の其れは、僕の力量ではどうすることもできないと思った。君は助けを求めていた。無意識にせよ、意識的にせよ、そんなことはどうでもよかった。自分では制御できない感情に蝕まれていて、今にも爆発─つまり、自分の父親をこの世から消し去る─しかねないような表情をしていた。僕には君に対する適切な処置を含んだ言葉は天から降りてこなかった。ただ、不思議と軽く感じるプリント
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