中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
化して、それらを生み出す原動力になったのかもしれないけどね。でも僕が父を超えるためには、やっぱり歌が一番の手段だと思った。視覚的に父親に復讐するだけでなく、父親が盲目になっても、聴覚的に、自分の罪を、後悔させたいと思った。『百聞は一見にしかず』というけれど、本当の苦というのは、自分の息子から発せられた言葉を受けた時に初めて身に沁みるんじゃないかと思ったんだ。本当の障害とは、罪人達の為にあると思うんだ。僕は頭の中で何回も父親の目を潰したよ…。父親がいかに酷い人間かということを、世間に知らしめたかったのがミュージシャンになりたかった本当の理由かもしれない。だけど僕が売れて有名になり、父親が僕に近付いて
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