中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
との距離がどんどん遠くなっていくような、手の届かない存在になるような気がして、不安だった。君はミュージシャンのままでいいんだ。どうしてそんなにマルチな才能を秘めているのか僕は不満を持った(嫉妬した)。まるで人間は皆平等ではないという当たり前の概念が僕の心をきつく捻って、不安に似た苛立ちの汁を搾り出させようとするかの様に胸の中を満たして息苦しくした。絵はいいとしても、文学に傾倒するのは止めてくれ、と思った。それは?僕?のテリトリーなんだから、と。僕は君の描いたシングルとアルバムのジャケットを見て談笑していたが、それは上っ面だけで、心の中は徐々にどす黒く、静かに渦巻き始めた。

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