中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
僕達はCDデビューすることになったんだ」
君はそこで話を切り、胡座を掻いた足の上に、掌を組んだ両手を置いて体を前後に少しだけ揺らし、新しい煙草を口に銜えた。
「それから?」
僕は話の続きを促した。
「それからはまるで夢のようにトントン拍子で、人気に火が点いて、ミニアルバムがインディーズチャートで何週も一位になったり、メジャーデビューしている人気バンドの前座を任されたり、全国をツアーで回ったりしたよ。色んな企画を考えて楽しかったなぁ。あの時は歌作りでもイマジネーションが爆発して、メジャーデビューしたら発表しようと思った名曲が沢山できたよ。アルバム十枚分ぐらい曲のストックが溜まっちゃっ
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