中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
くてお客さんが十人程度だったんだけど、口コミで僕達のバンドの良さが広がっていって、普通のライブでも百人ぐらい集まるようになったんだ。そして自分達で録音したテープを配ったりして。それが三年ぐらい続いたかな。丁度今の時期ぐらいに夜の部で演奏をしてた時に、インディーズのレコード会社の関係者が観に来てくれていて、ライブが終わった後、楽屋にやって来て、『君達のテープを聴いたよ。すごく良かった。うちの会社からデビューしないか?』と声を掛けてくれたんだ。その時の嬉しさといったら今でも形容しがたいよ。とにかく、メンバーと無意識の内に歓喜の声を上げて、思わず飛び上がっちゃったよ。バンドを組んでから五年。ようやく僕達
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