中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
持っている。当たり前だけれど僕達以外に客どころか人っ子は一人として居ない。君は僕に、君にそぐわない煙草を吹かせて違和感を抱かせる。君は文芸誌コーナーの所まで来ると、煙草を携帯用灰皿の中に入れ、笑顔で僕の顔を見た。
「さて、今回はどの小説の討論をしようか」
君は床に文芸誌を並べ、胡座を掻き、腕を組む。
「時間の続く限り何作品でも!!」
僕は頬を紅潮させ、君から一番近い文芸誌を指さし、僕達は掲載された小説の討論をし合う。
【九月】
君は一ヶ月に一度の二人だけの討論会の為に、この書店で発売されている全ての文芸誌の作品に目を通し、僕の意見に何でも答えられるようにしている
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