中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
いる。どうやら、東京と北海道では文芸誌の発売日に二、三日のずれがあるので、その間に全ての文芸誌に目を通しているらしい。まるでTVカメラでも回っている中でのような真剣な討論は、僕の心の花弁を開かせ、耳を真っ赤にさせて、過ぎゆく時間の流れが具現化されて見えているような錯覚に陥らせる。スポットを当てられたような一カ所だけ電灯が点いている白い棚の文芸誌コーナーは、僕にとって天国のような場所だ。周りの白い棚がそう思わせるのかもしれない。君は絶え間なく、煙草の煙を燻らせていて、僕とはまるっきり違う意見を述べ、それは違うよと正そうとしているように感じるのだが、僕はそれを自分の意見と同じ方向へ軌道修正させ、「自分
[次のページ]
戻る   Point(0)