中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
ん底さ。会社を辞めるまで自分は音楽を続けたいのかという疑問や、ミュージシャンとして成功できなかったら生い先真っ暗だとか死ぬまでバイトしないといけないと思うと惨めで、涙が溢れてきて。でも、バンド活動と創作活動は続けていたよ。きっといつか日の目を浴びることを信じて。毎日が試練の日々だと思ったよ。そしたら、あるライブハウスが主催する小さなコンテストでグランプリを獲って、それからかな、どんな挫折も苦悩も前向きな思考になるエネルギーになっていった。歳月を重ねていく内に、昼の部から夜の部に上がっていって、一年に二、三回だけど、お世話になっていたライブハウスでワンマンライブができるようになってさ。それまで多くて
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