中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
まったけれど」
 君はハハハハ、と笑みを零した。
「君は自分の夢を叶える為に、どんな努力をしてきたの?」
「僕は、二十代になってからミュージャンになることを目指したから、明らかに同年代の周りのミュージシャン志望の連中に差をつけられていたね。だからとにかくあらゆるジャンルの音楽を聴き、歌詞が書けるように本を沢山読んで、歌を書きまくった。その時僕は勤め人だったから、昼間仕事が終わったら寝るのも惜しんで他のメンバーとのセッションやライブハウスで演奏したりしてた。でも結局二足の草鞋は体力と精神を蝕んでいき、体調を崩して入院して、会社を辞めたんだ。その時の心理状態というか精神状態といったらまさにどん底
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