中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
の彼女と話をしていた。彼女も僕と同じように大学院で現代文学を研究しており、僕が君に見せて訂正した方が良いというところを推敲して、新しくプリントアウトした作品を、彼女に見せた。
「なかなかいいんじゃない? 新人賞に応募してみたら?」
帰りに書店に立ち寄り、公募雑誌を買ってみると、最も〆切り日が近く、規定枚数もジャンルも当てはまっている新人賞は、来年の三月にあった。僕は燃えに燃えて、改稿を繰り返した。
僕は大学院を卒業した後は、小説家になることを夢見ていた。両親にその事を打ち明けると、父親は硬い表情のまま鋭く言い放った。
「小説で飯は食っていけない。よっぽどの才能がない限りな」
父
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