中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
計を見た。
「もう時間だ」
君はプリントの束を僕に渡し、最後に煙草を一服すると、いつものように文芸誌を元の場所に戻した。
「じゃあまた一ヶ月後に!!」
君は振り向き様にだらしなく右手を挙げて、書店を出て行った。
その日の夜、君の公式サイトの日記を観てみた。
「煮詰まっていた歌詞をようやく一つ書くことができた。新作アルバム完成まであと少し!! その前に先行シングルが発売されるよ!! みんな期待して待っててね!!」
僕はそれを見て、よかった、とほっと胸を撫で下ろした。
【十一月】
季節はすっかり秋で、大学の銀杏並木の間にあるベンチで、僕は僕の彼
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