中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
広い書店に響き渡るのを一つ一つ確認していた。君は読むのが恐ろしく早かった。本当に内容が頭の中に入っているのかと疑いたくなる程だった。ページが少なくなっていくと何故だか度胸が据わってきた。君は最後のページを見終わって床にそっとプリントの束を置くと、一枚目に書かれたタイトルを暫く無言のままじっと眺めていた。僕はいたたまれなくなり、ついに自分から僕の作品の感想を君に訊いた。
「どうだった?」
すると、甲高い君の一言が僕の弱々しい声を遮った。
「面白い」
僕の心は完全に晴れ渡り、君の次の言葉を待った。
僕の小説の批評会は時間が経つのを忘れて、蒼い光が射し込んでくるまで続いた。君は腕時計を
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