ヴェルビューより / ****'04/小野 一縷
それがいつも通り 虹色に広がる 輝く音波を生む
奥深く暗い心泉に七色の波紋が広がってゆく
その彩が広大な心闇の表面張力から零れると
塗り潰すことで窒息死滅させたはずの不安が
刷毛の筋 色と色の隙間から
昏倒間際の意識を奮い起こすため
耳鳴りを模した警鐘を 遠慮がちに響かせる
妄想とは
障害と健常の境界面に映る
こちらの向こう側で嘲る口の厭らしい影絵
化学的に構築された自己愛の破風を脅かす そして
単純で明確な嫌悪罪悪感の力場に通じる古びた小道から
未だ生々しく淫猥に 優越感が伸びてくるのが見えて吐気
正常と異常の均衡を執る 精神の天秤の 揺らぎ
手
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)