臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
ない
ここで
言葉を 無限に溢し続けていたい
ぼくは牧犬にはならない 牧人にもならない
狩りの詩を歌う
鐘楼から紅い鐘の音 夕暮れを背にして
夜が始まろうとしている 闇 目蓋の裏と同じ 暗闇
夜の中に訪れた夜 本当の夜
狩りの為の夜の詩を歌う
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同 22:47 物質T 2mg投与
暗い波が打ってくる 寄せてくる高く奥深く スローモーション
空間に波動 震動 轟く頭痛に似た冴え
夜だ
銃じゃない ナイフじゃない 針じゃない
ペンを取れ 一番の上物の
夜だ 今夜は この詩の為に
津波のような圧力
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