臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
太陽の中の 永久氷山
銀色の氷霧を吸い込む
脳天を内側から刺し突く感覚 脳に伝達する微粒電子信号
それらの受信時に反転する視界の正確な回転角度を計りながら
その状況の言語化のために甘い味のする記憶に溶けて温く濡れた辞典を繙く
鼓動に掻き消された記憶の諧調の碑銘は
透明に近い銀色で現れる 黒い太陽が沈んだ後
甘く苦く漆黒に染み付いた思い出とも呼べる
一連の記憶信号の結合線上に 微細に
摩擦される弱電子音が零れ落してゆく
大空の小鳥の軽やかな断末魔の飛行に似た 徴と響
今が進行している
その起点発生の永劫反復運動の原動力は
時間と空間の境界線を往来する光
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